透き通る灰色
偽装 2/11
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水瀬美月さんの誕生日。
それはイコール水瀬くんの誕生日だということ。
教室に入ると、水瀬くんの誕生日で教室は騒がしかった。
「水瀬!焼きそばパン買い占めてやったからな!」
「いやそれ、俺めっちゃ嫌いなやつ!(笑)」
ドサドサと置かれた焼きそばパンを、嫌いと言いながらきっと水瀬くんは食べるだろう。
そういう人だ、水瀬くんは。
それから4限が終わり、私はあるところへ向かった。
それは、水瀬美月さんのクラス。
水瀬くんに頼まれたプレゼントを渡さなければならないのだ。
「あの、水瀬さんいます?」
近くにいた生徒に聞くと、呼んで来てくれた。
「えっと、1組の千名さんだよね?」
先に口を開いたのは水瀬さんの方。
「あ、うん」
「どうしたの?」
なんで名前知っているんだろうという疑問は置いといて、私はプレゼントを前に出した。
「これ、さっき水瀬さんに渡してって頼まれたんだ」
「なにこれ?」
「多分、誕生日プレゼントじゃないかな?
今日誕生日でしょ?」
「ええ!誰だろ?
うわ、嬉しい!ありがとう!」
パァっと笑顔になる水瀬さんは、やはり可愛い。
見ず知らずの人から貰った物を、嬉しそうに眺める。
これなら水瀬くんが直接渡しても良かったんじゃないのかな?って思うくらい。
「ありがとね、千名さん!
えーでも、本当誰だろー?」
「あ、あのね!」
「ん?」
これ、水瀬くんが・・・・・!
「水瀬さん双子なんだってね!
美男美女ですごいね!」
喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。
でも、次の言葉で頭が真っ白になった。
「え?違うよ?」
「え?」
「あー水瀬くんが言ったんでしょ?(笑)
あれネタだよ(笑)」
ネタ・・・・・?
04.偽装
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