透き通る灰色
約束 7/7
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「・・・・・なんで?」
「なんでかな(笑)
千名さんといることが最善だと思うから?」
水瀬くんは、笑って誤魔化した。
・・・・・最善ってなんだ。
最悪があるから、それを避けるために仕方なくってこと?
「千名さんは、俺のこと好き?」
「・・・・・好きって、ちょっとよく分からない」
「ちょっとでも、気になったりドキドキしたりしない?」
ドキドキ・・・・・。
「肯定だったら、それはもう好きだよ」
「好き・・・・・?」
「そう、好き」
分からない。
分からないの。
自分の気持ちも。
水瀬くんの気持ちも。
うーんと唸っていると、水瀬くんが頭をポンッと叩いた。
「変なこと言った!忘れていいよ!(笑)」
「え・・・・・」
「あ、そう言えば!
千名さんにお願いがあるんだ」
「なに?」
「今日買ったプレゼント、妹に渡してくれない?
俺の名前出さずに」
「いいけど、
それじゃあ・・・・・」
仲直りするきっかけはどうなるの?
「少しずつでいいからさ仲直りは(笑)」
はい、じゃあお願いねと言うと水瀬くんはプレゼントを渡してきた。
そして、私は駅のホームへと続く階段を登る。
だけど、横に気配が無くて、後ろを振り返ると水瀬くんは立ち止まっていた。
「俺はまだちょっと用事があるから、千名さん先帰ってて」
「うん、分かった」
「じゃあ、よろしくね」
「うん」
手を振る水瀬くんに、私は歩きながらずっと思っていたことを彼に伝えた。
「水瀬くん!」
「うん?」
「私は水瀬くんと明日も会いたいよ!明後日も!」
「何それ(笑)」
「また明日!」
「うん。また明日ね」
笑う水瀬くんに、私も笑った。
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