(BL)アナタとワタシのハッピーエンド
[迫る決断の時](1/10)
優しい鼓動が鼓膜に響き
もっと深くに浸透すれば
黒く染める彼を忘れられるのか…───
朝、2つの携帯電話が鳴り響いた
ダルい体を引き摺り義希は自分の服から携帯を取り出す
達也はベッドの枕元に置いたそれに手を伸ばす
「吉、原?」
「…岩田…?」
お互いが仲間の名を呼び顔を見合わせた…
同時に掛かった電話の内容は旅行の誘い
吉原の知り合いが経営する海沿いの小さなホテルにどうか、との話
もう最後だし、と強く強調する吉原に負け、義希は苦笑して頷いた
それを横で聞いた達也も岩田に行くと伝え電話を切る
友人二人のコンビネーションに
達也と義希は小さく笑い合い
昨日までと違う自分達の距離に
僅かな戸惑いと嬉しさを噛み締めていた
その日はベッドの中でゴロゴロ…
冷房を仄かに効かせた部屋で
二人の体温をその身に感じていた
義希はナオミとはこんな風にジャレあった事などなかったな、と
違いに、達也の優しさに嬉しさを胸に広げ
ソロソロと目の前の顔に手を伸ばし
はじめて自分からのくちづけをした
目を見開く達也を見て
逆に顔を赤くすると
組敷く体勢をとられキスに深さと激しさが加わる
その甘さに義希は泣いた
「…泣き虫」
達也のそれはとても嬉しそうな笑顔で
義希はきっと自分の選択は間違っていないのだと
彼の体にしがみついた
「好きだよ、義希」
囁かれる耳の声を胸に落として
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