マンガ好き女子の恋物語


恋愛対象と恋愛感情(1/9)





6月の休日…


私は梅雨空の中、ある人物と待ち合わせるため、駅前に向かっていた。


先程から雨が降り出していて、少し気分が落ち気味だったが、
屋根付き通路に入って少しホッとする。





「河坂ーーー!!」


満面の笑みで私を呼ぶ待ち人。




…周りに人がいっぱいいるのに、
よくもまぁ恥ずかしがることなく、大きな声で名前呼べるなー。


…てか止めてほしい。




「…待ち合わせ15分前なのに、もういるんだね。」


「そりゃあ、河坂とのデートが楽しみだったからね!

河坂こそ15分前に来てくれるなんて、

…もしかしてもしかして、
俺とのデート楽しみにしてたんじゃないのー♪」



…なんか、うぜぇー。
後半のセリフ、ちょっとリズムに乗ってたから、帽子とギターのコンビ芸人みたいだったし。



「私、遅刻とかしたくないし、
性格的にもキッチリしてるから、
待ち合わせ時間に確実に間に合うように行動するの。」



待ち人こと、澤口のハイテンションに惑わされることなく、
私は冷静に淡々と返事をする。



「まぁ!今日の河坂ちゃんは冷たい!

氷のよう…いやジェラートぐらいかな。」


「心底どっちでもいい。」


「…冷たくても、やっとこさ取り付けたデートだからね、…嬉しい!」


「…そうですか。」


やばっ、ちょっと照れてしまった。
澤口は素材が良いから、嬉しそうな顔するだけで絵になるんだよね。










澤口はこの1ヶ月、本当にすごかった。
…というか、エグいレベルだった。

とにかくデートしてほしい!と毎日のように懇願され、
私のスケジュールを見せても、
しつこい、折れない…。

最終的には泣きつかれてしまい、
渋々私の楽しみにしている週1のマンガDAYを潰すことになったのだ。




え…そんな態度で良いのかって?

澤口曰く、この私の態度が逆に燃えるらしい。
…あ、萌えるじゃないよ。私に萌えポイント皆無。






- 50 -
back next

bookmark

/206 n


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?


top