ホテルで上司との関係
[すれ違う運命](1/19)
第10 すれ違う運命



狩生は外に出た


家の敷地に止まるグレーの高級車
のドアが開く

「徹!一体どうしたんだ?取引先から
昨夜お前が会合を全てキャンセル
したって聞いて」


狩生 孝正


透の義兄が駆け寄ってくる


「それに最近やたら仕事漬けだった
だろ?大丈夫か?」


昔からなかなか心配性の孝正は
いい兄だった



「ああ…心配かけたな。それと昨夜
は薬やら何やら成田に持たせた
みたいだな。受け取った」


「ああ良かった。どこの具合が悪い
かわからないから色々な薬買い
漁ったんだ」


「成田から受け取った。ありがとう」


すると孝正は苦笑する


「いや成田も相変わらずだよな。
学生時代から何も変わってない」


「今だに大人なりきれないだけだろ」


「ははっ。徹だって無理して大人
ぶってるだけだろ」


笑う孝正を透は軽く睨んだ

しかし以前のような冷酷さは無い




「それより今日は何の用だ?まさか
私の見舞いではないんだろ?」


「さすがだ。察しがいいな」


孝正が苦笑して目をそらす


「すまないが今から外せない用がある。
日を改めよう」


「いや…なるべく早い方がいいんだ」


(やけに深刻そうだな)



そんな義兄を見て嫌な予感がした










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