ホテルで上司との関係
[側にいたい](1/17)

それからすぐにハッと由子は目を開けた


(!!)


由子を見つめていた狩生は反射的に
目を閉じて寝たフリをする



(……なぜ私が寝たフリなどする必要
がある?……)


だが目を開けるタイミングを逃した
狩生は目を閉じ続ける


「いけない私すっかり寝ちゃった
みたい……。この毛布徹さんがかけて
くれたのかな?


自分にかかる毛布を見てふわりと胸が
高鳴り熱くなる


そして狩生の額にそっと触れた


良かった。だいぶ下がったみたい」


由子の安堵した声が聞こえる



(落ち着かないいっそ目を開けるか?)


「やっぱり徹さんは優しい方です。
もう少し眠って休んでくださいね」


由子の優しい声がかかる

(……他愛ないな)


笑みが自然とこぼれそうになるのを
堪えた


「でも徹さんは本当にひどい方です



由子が呟く



(ひどい?……やはりそう思うか)


狩生は軽く胸を軋ませた

「勝手にお一人で会社を移動して
しまうなんて


話しながら涙がたまる




「私を秘書にして側において……
もう徹さんの側を離れられなくなる
くらい好きにさせたくせにこんな風に
私を置いてきぼりにするなんて




由子の口から漏れた言葉に絶句した




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