ホテルで上司との関係
[募るばかりで](1/33)
7 募るばかりで



「ちっ!…………


………………



よく朝オフィスのホールで鉢合わせ
する圭一と狩生


あからさまに舌打ちする圭一

目を軽く細め黙る狩生



「昨夜はどーも。くだらない勝手な
電話してきやがって


「確かに電話はしたが何の役にも
立たなかっただろ」


「別にあんたの役になんか立つ気は
もともとない。せいぜい自分で
なんとかしろ」


(朝倉と何があったか知らないが
こいつが朝倉に誤解されようが嫌わ
れようが俺の知ったことじゃない)


朝からホールに嫌悪な空気が流れ
周り行く社員が皆怯えていた


「お前に言われるまでもない。その
ことなら既に昨夜片付いた」


狩生がチラッと笑う

(片付いたって……朝倉と和解した
ってことか?)


圭一の胸内に複雑な思いが流れる


「いいだろう?昨夜仲直りをした」


以前と同様、自慢気に話す狩生

(何がいいだろう?だよっ?!
しかも仲直りしたって幼稚園児
でもあるまいし、なんでこんなに
嬉しそうなんだよ?!)


「あぁそうかよ!!」


「しかも私1人で仲直りまでことを
運んだ」


さらに自慢気に微笑する狩生


(なんだよこの幼児が1人で着替え
できたよ的なニュアンスの言い方!)


「なんでさっかから自慢気なんだっ」


(こいつこんなキャラじゃねえだろ!
以外とアホなのか?……)



「というわけだ。では私はやること
があるゆえ失礼する」


狩生は微笑を崩さないまま圭一の
横を通り過ぎる


「次また朝倉に何かしたり泣かせたら
無理にでも連れ戻しに行くからな!」



狩生の背の高い凛とした背中に
そう言葉を投げる



(まったくうるさいなまだ何か
後ろで吠えている)




狩生は振り返るとチロリと赤い舌先
を圭一に出して見せた


「なっ?!」


「黙れ」


すぐに舌先を引っ込めて短くそう
言うとまた微笑を浮かべて歩き
去って行った


(あいつ絶対おかしい!今のベーって
のはなんなんだよ!?だめだ狩生の
頭が狂った………)


(さて仕事だ仕事仕事………)




すっかり混乱する圭一をよそに
仕事モードに頭を切り替えた狩生は
社長室へ向かった






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