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◆本当の始まり (1/1)

本当の始まりはこれからだった。





クラスメート一人一人が自己評価の用紙を村上さんに提出していく中,私も苦しみながら提出していく。



村上「篠山さんで終わりですね。」


咲 「………。」



本当にこの選択は間違ってないの…?


西島くんは私を止め様とした。


それは私にはまだこのクラスに立ち向かう力がないから?


でも,助けないで見てる事は私自身が1番嫌いな事なのに…



理不尽さを感じながら席に戻って座り,俯いたまま私は沈黙した。



村上「今月の自己評価も白波くんや西島くんを除いて全員回収できました。ご協力ありがとうございます。この自己評価は集計して,クラスの心を一つにするために役立てます。来月も担当対象の評価,そして自分の評価のために頑張って下さい。」



もう白波や西島くんの喧嘩の事なんて忘れたかの様に話す村上さん。


それはもう皆の目には一人の仲間を消し去った様な光景だった。



村上「新しく仲間になる篠山さんも学校にだいぶ慣れてきたみたいなので,来週の月曜日に適合試験をしたいと思いますが…反対の人はいますか?」



適合試験!?


何それ…



ロサ「異議なしだよ。やっとだね(笑)篠山さん,頑張って。」



水川さんが私を見て笑顔で答える。



「頑張れよ!篠山!!」


「待ってました(笑)」


「なんかまだ他人みたいな感じだったんだよね〜。良かった(笑)」



皆の言ってる事の意味がわからない私は,教室を見渡しながら動揺していた。



怜香「やっとだよ…。」



レイが小声で呟く。



村上「残りの時間は自習にしたいと思います。」



まだ何か知らない事がある。


このクラスでおこなわれている謎がまた私に襲いかかっていた。





学校での長い一日が終わり,私は一人で公園にいた。それは,西島くんと会う約束をしていたから。



咲 「………。」





10分





20分





30分





どんなに待っても来ない西島くん。



夕方の景色から,夜の景色と変わっていく。



携帯の時計を見ると1時間以上経過していた。



やっぱり私が助けなかったからだよね…



寒さが身に染みて,自分の弱さを痛感していく。クラスに馴染むって事は,今までみたいに自分を捨ててまで立ち向かう事ができないという事。それがなくなった私は,きっと抜け殻の様な自分になってる。


まさに今の自分がそうだった。



クラスを知るためなら,仕方がない事なのかな…


石上くんみたいな人を救うためだから?


西島くんがあんな事になったのは,やっぱり私がいけないのかな。



もうわかんないよ。


これでいいのかなんて…





夜空を眺めながら2時間ほど待った私は,西島くんが来ない事を感じて…街灯に照らされながら重い足どりでゆっくりと自宅へと帰っていった。





―――――――――――――――――――





薄暗い部屋の中で,パソコンの光が自分を映し出す。


部屋の中は綺麗に整理されて少しのズレも許されない。プラズマクラスターが部屋の空気でさえ綺麗にさせる。



画面に映る綺麗な景色を眺める自分。



パソコンのモニターにはクラスの名簿が並ばれている。


その名前をタッチパネルで操作しながら笑みがこぼれ落ちていく。



「篠山 咲…もうすぐ仲間だよ(笑)」



パソコンのモニターに映し出された【篠山 咲】という顔写真付きの名前が【12番】と書かれたブロックの中へと人差し指で移動させる。



「ルールを守れるかな…?」



カチ…



「試験を突破する魅力は十分にあるよね。今までにない人格だしね(笑)楽しみ。」



そして,【西島 康太】と書かれた顔写真付きのデータに【×】印をつける。



「処罰決定。邪魔するからだよ(笑)」



笑いが止まらない。


全てはこの手にある。


このクラスの全てが…





「これからだよ…(笑)」





【送信】という文字に指が優しく触れた。


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