6×6BLOCK


◆システムと脱落者 (1/1)

2ーAというクラスに困惑しながら順応していく咲。そこで見たものは…





その日の学校帰りに,私はレイと一緒にマックへと寄り道していた。



怜香「今日はなんか疲れたね(笑)」



マックのポテトを食べながら普通に話す怜香。


それを見て違和感を感じる私。



咲 「ねぇ,レイ。今日のホームルームって…いつもあんな感じなの?」


怜香「うん。今日のは石上くんが絶対に悪いよ。だってちゃんと反省を言わなかったから。」



本当にそうなのかな…


私には皆が石上くんを陥れようとしてる様にしか見えなかったけど。



咲 「でも,なんかおかしいよ。村上さんの顔だって怖かったし…それに体育祭なんて皆で頑張ったなら結果がついてこなくてもそれでいいと思うしさ。」


怜香「それは違うよ。だってクラスは一つにならないといけないんだから(笑)反省する事でまたクラスが一つになる。2ーAはそこがいいんだよ。」



私はジュースを飲みながら,自分の見ていた視線が違う事に気付いていく。



咲 「そうなのかなぁ…。私には違う様な気がするけど。あっ…それとさ,村上さんが言ってた自己評価って何なの?」


怜香「あぁ〜それは,うちのクラスメートが考案したものだよ。自己評価って多分,自分で自分を評価するものなんだけど…ちょっと違うんだよね。毎月一人の評価を別の人が用紙に書いていくの。例えば,勉強を熱心に頑張ってたとか…部活の練習を真面目に取り組んでいたとか…そんな事かな。目的はより良いクラスにするためだって言ってた。私もこれには賛成したよ。だってさ,これがある事で2ーAにはイジメが無くなったんだもん(笑)考えた人は凄いよね。誰だか知らないけど。咲もそろそろその話が村上さんからあるはずだよ。」



なにそれ…


なんか変だよ。


私は疑問が生まれながら,携帯を取り出してレイに見せたんだ。



咲 「この連絡会っていうのも村上さんが作ったのかな?」


怜香「今日の咲,ちょっと変だよ(笑)聞いてばかりでさ。」


咲 「ごめん…。なんか気になっちゃって…」



気にし過ぎ?


いや…違うと思う。


マックの店内に行き交う人々をしばらく眺めながら,私は何かを探そうと必死になっている。


それは私の過去の傷が何かの合図を感じているから。



咲 「話が変わるけど…私ね,昨日の放課後に会ったんだ。結菜って女の子に…」


怜香「ゆ,結菜…。」



レイの表情が一気に変わっていく。



怜香「もうやめよ。その話は聞きたくないかも…。ごめんね。私にとって嫌な話だと思うから。」



やっぱり転校したレイの友達なんだ。


でも,私はそれ以上…レイに聞く事は出来なかった。


きっとこの関係を壊したくなかったから。


利香の様に…









あの奇妙なホームルームから日にちが経つ度に実感していくクラスの変化。


あの謎めいたメールの意味もまだわからないまま,私はこのクラスに何があるのか気になり続けていた。


数字…


暗号…


きっとこのクラスには普通の感覚ではわからないものが隠されてる。


そして…


もうその変化は目に見える所まできていたんだ。





あれから数日経った朝の学校。


授業が始まる前に,私は学級委員の村上さんから自己評価について説明を受けていた。



村上「気軽に書いてくれればいいから。篠山さんもまだ慣れてないと思うし,こんな事をするのも嫌かもしれないけど…でも,これはクラスの心を一つにするためだと思って我慢してね。」


咲 「うん。」



本音は違う。


何でこんな事をしなきゃいけないのかもわからない。


クラスを一つにするって,こんな事じゃない気がする。


でも,私は2ーAというクラスの仲間になるために説明を聞きながら順応していく。



村上「篠山さんが評価する人は,後ろの席の滝沢優里さんだよ。」



村上さんが指を後ろの席にさす。


それを見て,私が後ろを振り返ると滝沢さんが緊張しながら私に言ったんだ。



滝沢「よろしくお願いします。頑張りますから。」



あまり目立たない感じの真面目で大人しそうな女の子…


休み時間に一人で小説を読んでいる姿をよく見た事がある。



という事は私が滝沢さんの評価をするって事?



咲 「よろしく。なんか変な感じだよね(笑)」


村上「堅苦しく考えなくていいから。じゃあ頑張ってね。」



私の肩を村上さんが手で軽く触り,自分の席へと戻っていった。


そして,私は授業の準備を始めている時だった。





[ガラガラガラ…]





教室のドアから石上くんの姿が見えたんだ。



孝 「おはよ…。」



いつもの様な明るい表情は無く,疲れた感じで自分の席に座る石上くん。



他の皆には見えてない様に,誰も挨拶を交わさない。



仲良しだった西島くんでさえ…



もう,そこにはいつもの石上くんの姿はなくなっていたんだ。


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