◆午後の景色 (1/1)
怜香と仲良くなった咲が午後の授業で見たもの。
レイの小さな仕草に何かを感じとる私。
怜香「おいしいね(笑)咲のお弁当可愛い〜。いいなぁ〜。」
何かをごまかしてるのかな。
そんな風に何故か見えてしまう。
きっと,今までの経験で人の仕草まで敏感に感じとれる様になってるからかな。
気にしすぎなのかも。
私は気になりながらも昼ご飯を済ませてレイと共に教室に戻っていった。
戻る途中の廊下で雑談をする私とレイ。
怜香「そっかぁ〜私も苦手だな。暗記ものは全然ダメで(笑)」
咲 「なら同じだね(笑)私と気が合うかも。」
会話をするたびにお互いの距離が近づいてる。苦手なタイプじゃないし,それに本当に仲良くなれそうな気さえする。
そんな中…
[ドンッ!!!]
咲 「きゃぁっ…。」
廊下で突然,肩がぶつかって倒れる私。
視線を上にあげるとズボンのポケットに両手を入れた一人の男子が立っていたんだ。
髪がサラサラで少し茶髪の爽やかな顔立ちの男子。
でも,私を睨みつけてる…
圭介「よそ見すんなって。クソ転入生。」
怜香「咲,大丈夫!?」
怜香が隣でしゃがみながら心配そうに見つめる中で
私はゆっくりと立ち上がり…
咲 「私はクソ転入生じゃない。篠山咲って言うの。」
またやっちゃった。
この性格をどうにかしないと…
初日からギクシャクしたくないのに。
圭介「あ?喧嘩売ってんのかテメェ。」
私と彼の間に急いで入り込むレイ。
怜香「圭介くん,ごめんね!!咲はさ,まだこの学校に来たばかりだから…許してあげて。お願い!!」
レイ…
なんで謝るの?
レイは悪くないのに。
圭介「チッ…。」
舌打ち!?
なんなのアイツ…
私の中で苛立ちを必死に抑えながら,彼の後に教室へと入っていく。
初日から何やってんだろ。
せっかく仲良くなれそう友達ができたのに。
また前の学校みたいになるの?
わかってる。
咲 「はぁ…。」
席について静かに溜息をおとす。
怜香「咲,さっきの人…白波圭介って言うんだけど,あまり関わらない方がいいよ。」
名前,白波圭介って言うんだ。
私の目が自然と彼の方に向いた。
席は廊下側の1番前の端っこで,携帯をいじりながら何かしてる。
咲 「どうして?あの人に何かあるの?」
怜香「なんか人嫌いみたいで,いつも一人でいるんだよね。クラスの皆もあまり関わろうとはしないから。」
人嫌い…
そんな事,私もなった事あるよ。
きっと楽だから…
しばらくして午後の授業が始まる。
皆,集中して授業を受けている。
私は今だに集中できない。
先生「ここの問題を解ける人はいるか?」
静まりかえる教室。
私もわからないけど…
そんな中で突然,クラスメート全員が一斉に手をあげたんだ。
しかも無言で…
不思議に思った私は隣のレイを見る。
そこには真っすぐ背筋を伸ばして手を挙げるレイの姿が映った。
何これ…
白波までダルそうに挙げてる。
先生「おぉ…そうか。こんなに挙げるなんて優秀だな(笑)」
先生も動揺してる。
私だってこんな光景見たことない。
まるでロボットみたいに…
皆…どうしたの?
その後の授業でも何回かその光景を目にする私。
あまりに不自然な動きに何か警戒心さえ生まれてくる。
一日の授業が終わり,私はレイと帰り道が同じという事で一緒に帰る事になった。
なんか今までとは違う学校…
クラスメート…
そんな気が帰り道を歩く私はしていた。
いろいろありすぎて疲れてるのかな。
新しい環境だったし…
きっと,そうだよね。
秋も深まる景色を眺めながら,ゆっくりと歩いていく。
咲 「今日はありがとう。」
怜香「全然いいよ。途中から新しい学校に来るって不安だと思うしさ。何かあったらまた私に何でも言ってね!もう友達なんだから。」
レイってホントに優しい女の子。
会ったのは今日が初めてだけど,話す度にそう思う。
初日から友達ができるなんて幸せだよ。
今度はうまくいくかな。
怜香「私はここから曲がるけど…。」
咲 「私は真っすぐだよ。」
怜香「そっか。じゃあまた明日だね。あっ,そうだ!アドレス交換しよ。咲とメールしたいし。」
咲 「うん。いいよ(笑)」
自然と笑みがこぼれる私。
当たり前な事がこんなにも幸せに感じる。
きっと今までイジメに遭ってきたからかな。
私はレイとアドレスを交換した後,自分の家に帰ろうとした時…
レイが私の方を見て言ったんだ。
怜香「これから大変だと思うけど頑張ってね。明日は学級委員の村上さんから話があると思うけど…。じゃあまた明日(笑)」
学級委員から話?
話って…
私は少し困惑しながら帰宅していった。
こうして私の登校初日が終わりを告げたんだ。
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