不器用恋愛
[EPISODE 2](16/17)
後ろを振り向けば。
ああ、なんということだ。
ドアの横の壁に寄りかかる間村龍が居るじゃないか。
気付かずに通り過ぎようとしてたんだね、私。
いや、むしろ気付かずそのまま行けばよかった。
てか、私服になってる。
この前も、お昼もスーツだったから、スーツ以外の姿を見るのは何気初めてだ。
いや、うん、一言で言ったら。
オシャレだね。
じゃなくて、
「なんで居るんですか」
「いや待つって言ってたでしょ俺」
「私帰ります、」
「だから帰らせねえって」
そう言ったと思ったら。
グイッと私の腕を引っ張り、そのまま歩き出す間村龍。
「は!?ちょ、離してください!」
「むり、逃げそう真由ちゃん」
何も言えない。図星じゃん。
普通に逃げる気満々でした。
そう思っている間にもどんどん引っ張られて。
道の角を曲がったところにある小さなコインパーキングでその腕は解かれる。
「乗って」
そう言って間村龍はそこに停められてる黒い普通車の助手席のドアを開ける。
「え?は?」
「俺の車だから、これ」
いや、それはさすがに分かるけど。
車運転できるんだね、この人。
乗っていいのか、乗らない方がいいのか。
どっちが正解か分かんなくてその場に立ち尽くしたまま。
それに痺れを切らしたのが間村龍で。
またもや腕を掴まれ、強引に助手席に乗せられる。
「ちょっ、」
何か反論しようとしたけど。
言う前にドアが閉められた。
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