KADERA 〜雷竜伝〜
[託す者と受け継ぐ者](1/1)

 西暦3016年。あらゆる宇宙人達、地球人自身で作り上げたロボット「メタルロイド」との確執が消え去り、理想郷「ネオ・パシフィスタ」を作り上げた。しかし、種族を守る理想郷は、いつしか理想郷を守る為ならば裏切り者の抹殺等をする名ばかりの平和でしかなかった。
 「ハァ…ハァ…」
 十数人の団体だろうか。彼らは、目玉一つの三原色三つに別れる兵士と大型のロボット、そして行動隊長らしき人物に追われている。
 「ルナ様。もうこのチームは全滅します。あなただけでもエスケープして下さい。レジスタンスに必要ですから。」
 ショートの茶髪、新緑の瞳の美少女にレジスタンスの一般兵士が語りかける。
 「嫌よ!みんなで一緒に帰るって約束でしょ。それに、もう少し進めば今の状況を覆してくれる切り札があるんだから。」
 多くの犠牲を払いながらも、目的の場所にたどり着いた一行。そこは、遺跡だった。何か凄まじいものを発しているので、何十回も調査が断念している。
 「ここに、光と闇を超越したカデラが眠ってる。」
 
 西暦2016年。テンガロンハットにゴーグルを掛けた金髪赤目の少年がいる。彼の名は天上長門。夏休みが始まり、とある事情で両親は構うどころではない。なので、一人で旅行に来た。高津は、天上一家がかつて住んでいた場所で、今は新宿のマンションに引っ越す。高津に来たのは、なんとなくではあるのだが。
 「冗談じゃねえって。ここもか。」
 長門は、一人愚痴をこぼす。というのも、受け入れてくれる場所がない。ネカフェにしようにも、あくまで最終手段にしている。落ち着けない。さて、どうしたものかとため息をつき、さまよう。
 気がつくと、町のはずれにいた。そこには、奇妙な遺跡がある。
 「おかしい。そもそも、こんなところに遺跡なんてあったか!?位置を考えても、不自然すぎだ!」
 だが、こういう時に好奇心を持つのが人間だ。長門も例外じゃない。あろうことか、遺跡に入ってしまう。
 中は、いたって普通に見える。特に怪しいところもない。やや暗いのが難点かと思われる。懐中電灯を持って進む。しばらくして、最深部までたどり着いた。ここだけ異様に明るい。真ん中に石棺がある。というより、鉄棺と呼ぶべきだろうか。
「もしかして、世紀の大発見か?考古学も視野に入れてたからいいんだけどさ。触っても、罰は当たらないよね。」
 内心面白半分に呟く長門。軽い気持ちで、棺に触ってみる。すると、眩しい光に包まれて、気を失う。

 目を覚ました。遺跡と変わらない。
 「何なんだよ?全くどうかしてる。くだらない。帰ろー。」
 元来た道を戻る。すると、謎の一団と遭遇。内心修羅場だった。エイリアンに、何か凄そうなマシン、特撮の地球侵略をこの目で見ているようだった。叫びたかったが、あまりにシュールな光景過ぎて、声が出せず。
 「!?こんなところに人間がいたとは。すぐに医療班に連絡。保護をしろ」
 一団のリーダーと思われる男はそう言った。正確には、男の声というべきか。スカイブルーの鎧のようなものを着込んでいる。左腰に太刀、左手に氷をかたどった盾を持ってる。
 「あ、いや。丁重な処置を申し訳ないんだけどさ。迷子じゃないから大丈夫だよ。もしかして、立ち入り禁止だった?」長門は、質問した。
 「只今、レジスタンスの連中がここに入り込んだ。我々は、全員の抹殺を目的でここにきた。出口は真っ直ぐだから、気をつけて帰りなさい。」
 レジスタンス?抹殺?長門は、ある確信にたどり着く。連中とは、近い未来対立するだろうと。棺を触って、赤い何かが、連中と戦っていたヴィジョンを見た。もしかして、棺は俺を求めているのか、長門は最深部へ逆戻りした。
 「逃げ出した。追え!」例の男は部活に命令を下した。
 一方、レジスタンスは一団と抗戦している。やや押され気味だが、目的地にたどり着いたようだ。しかし、封印の解放の仕方が分からない。
「ここまで来たのに、できないの?」
 ルナは、焦っている。残りの兵士も、あとわずか。そうして、また味方が倒れていく。
 「ルナ様。もう駄目です!逃げて下さい。カデラの復活は、無理です。」
 そう言った兵士は倒れてしまい、残るはルナただ一人。戦闘兵の銃がルナ目掛けて発射される。終わったと思ったが、何もない。一人の少年が、割って出た。体中に銃弾を浴びせられ、立っているのがやっとだ。
 「こんな…にい…るのに、ハァ…ハァ…ハァ……………女の子一人を………り、ん、ちか……よ。最悪だ……ぜ。」
 「何で、こんな真似を…」
 「気…まぐ……れ。それ…よりも、逃げな…よ。」
 「あ…あ…イヤァァァァァァァ!!」
 とうとう無関係の人まで巻き込んでしまい、泣き崩れたルナ。一団のリーダーも流石に想定外だったようで、動揺した。
 光が長門を包み込み、棺の中へ。棺の扉は壊れ、赤い戦士が立っている。
 「カデラが、蘇った!?」
今、雷竜伝と呼ばれし伝説が幕を開けた



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