プラシーボ
[釜底抽薪](1/80)
……気がついたら海にいた
おかしい、先程舞夏と電車に乗ったまでは覚えているのに……
「あっ、春樹君起きた?」
なぜ隣に水着姿の舞夏がいるんだ?
「おっ、起きたか春樹!」
「お目覚めだね春樹」
いや、それから秋人と源季
「おはようございます春樹君、もうお昼ですけど」
「王子様のお目覚めね春樹」
冬美とルミナス……あとラフィネ
「兄さん、おはよう。よく眠れた?」
そして最後に春香
全員揃っていた
そして全員が水着姿である
唯一春樹だけは変わらず私服
そこは安心した
記憶なしに動いていたなんてのは怖すぎてシャレにならん
「でも、春樹も災難だったよね〜」
そう源季が口を開いた
「まさか雷門さんを迎えに行ったら元軍人の中居さんの魔法修行に付き合わされるなんて、そりゃ疲れて当然だよね」
そんなことをいう
チラリと視線を舞夏に向けるとウインクを飛ばして来た
「ははは、雷藤さんは厳しいからね。まさか修行のために部活にも行かせないとか、はたまた婚約させるぞとか、なかなか癖のある人だからね」
冬美が源季に続けてそう言う
なるほど、そう言う方向に持っていったのか
雷藤さんには悪いが、狂言ということにしておけばいろいろと都合がいい
とりあえず丸く収まった……といったところか
「さて春樹、お目覚めそうそう悪いんだがな、俺がお前をここに運んで、お前が起きるまで俺たちは二時間待ったんだ。全員揃うまで〜と思ってな、言いたいことわかるよな?」
そう秋人が言う
わかる、言いたいことはよくわかる……が
それを寝起き早々、しかも死闘を終えたものに言うのはどうかと思う
まあ、死闘があったとは知らないだろうし、それほど過酷なものではなかったが
「そうだな、待たせて悪い」
そう言って春樹は起き上がった
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