プラシーボ
[紆余曲折](1/82)
「もしもし?珍しいな、お前から電話なんて」


「忙しいところすいません、一つお聞きしたいことがありまして」


春樹はとある人物に電話をかけていた


打てる手は打つ


というより、策を打つために必要なことをする


「なんだ改まって気持ち悪い、さっさと要件を言え。俺も昼寝で忙しいんだ」


今はまだ勤務時間内だと思うが、細かいことは放っておこう


どうせ後で締められるのはこの人だ


「神さん、私事なんですが、情報屋の番号、教えてもらってもいいですか?」


「そりゃ無理ってもんだ。メールなら知ってんだろ?そっちで連絡取りな」


軍の直属の情報屋


本来なら私情に使うことなど許されるはずがない


ここでそれを言わないのが神らしい


「メールだといつ連絡が取れるかわかりません。できれば今すぐ……知りたいことがあるので」


残された時間は多くはない


人手も足りない


人手はどうにもならない……というかどうにかする気はないが


時間だけは必要だ


……そうか、なら諦めろ。なんでも思い通りになると思うなよ」


「思ってませんよ。それでも、どうにかなるようにはしたいんです。諦めるのは俺らしくありませんからね、少しでも確率の高い手段を選んでるだけです」


「なるほどな、だからこの時間に電話して来たわけか、波江が近くにいないから」


他の部隊は知らないが、一応所属扱いになっている神の部隊の日程やスケジュールは春樹も把握している


今この日この時間は、実践訓練中の筈だ


だから神の近くに波江はいない


今が一番神が協力してくれる可能性が高い


それでも極小の可能性だと思っているが


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