プラシーボ
[一言之信](1/93)
「結界……同じものか」


先ほどと同じ風景


同じ圧迫感


春樹とラフィネからすれば二度目の光景


だが二度目とはいえあまり好まれる場所ではなかった


「この空間から出るには私を倒すしかない。単純明快だろ?外部からはどうしようもない、増援は来ないぞ?」


「バレていましたか」


志保が手に持っていた小さな札を地面に投げ捨てた


どうやら密かに連絡を取り合っていたようだ


「水沢、援護を頼む」


「ええ」


短いやり取り


だがそこには慣れのようなものがあった


大河が地面を蹴る


加速を使った速い動き


一瞬で間合いを詰める


「ふん!」


炎で形創られた剣を振るう


謙正は二本の剣でそれを受け止めた


たったその行動だけで衝撃波が巻き起こる


一度離れもう一度炎剣を振るう


謙正はそれを左の剣だけで受け止める


空いた右手の剣を大河目掛けて振るった


しかしその剣は大河の身体目前で空中に生じた水によって受け止められる


「ウオォォォ!」


力を乗せた大河の剣が謙正を大きく後ろに吹き飛ばした


さらにそれだけで終わらず炎剣から炎が繰り出され謙正を呑み込む


それを謙正が双剣で斬り伏せ二つの斬撃を飛ばす


唸りをあげて迫るそれを大河は炎剣の一振りで吹き飛ばした



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