プラシーボ
[暗中模索](1/46)
(私も老いたな)
地羽瀬はそう思った
まだ45歳、体力や魔力も衰えてはいない
いやそれどころか、最近の鍛錬で、全盛期と言っていいほどに高まっている
ならばなぜそう思ったか
それは見てきた、経験してきたものの多さだ
そうして、それを重ねてきたために出来た、間違えようのない知識
老いてなければ、こんなにも手間取らなかっただろう
老いてなければ、フルフェイスマスクなどというものに頼らなかっただろう
そもそも老いてなければ、今回のテロなどというものを起こさなかっただろう
そうして……老いてなければ、少年の攻撃を食らってはいなかっただろう
地羽瀬は自らが創り出している、ここら一角を囲む岩壁まで吹き飛ばされながら
衝撃を受けた左腕の痛みを感じながら
そう思っていた
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