プラシーボ
[刺突猛追](1/45)
ルミナスは男たちのもとに辿り着いた


『皆さんを開放してあげてください、私はどうなっても構いませんから』


ルミナスは男にそう告げる


『こちらの要求が通れば皆解放しよう、まあ、あなた以外は何人か殺すかもしれんがな』


男はニヤリと笑ってそう言う


『そんな!お願いします、私は何でもしますから』


ルミナスはそう言って男に詰め寄る


しかし、男は他の男に指示してルミナスを拘束する


男は端末を取り出すとどこかに連絡を入れる


『ああ、俺だ、日本政府には伝えたな?随時連絡を入れろ』


男はそう言う


どうやら外と連絡を取っているようだ


『お願いします、私は何でもしますから』


再度ルミナスがそう懇願する


すると男は笑い出した


下品で下劣な笑いだ


『ハッハッハッ!ハァ〜……お姫様、正直なことを言うとお前なんてどうでもいいんだよ、どうせ殺すんだからな

お前に等価交換としての価値がないことを俺たちが知らないと思ったか?

さっきまでのはたてまえだよ

お前に価値はないが、日本でお姫様が殺されたとあれば火種ぐらいにはなるからな』


そんなことを言う男


ルミナスの表情が曇る


理解していたとはいえ、人から言われるのはまた違う


思い知らされる……というのが適当かもしれない


『可哀想なお姫様だな、自らに価値がないことを知っていて、それでも生きている

人質にすらなれない

父親からも、国からも見捨てられたお姫様か……傑作だな』


男は相変わらずの下品な笑いを響かせる


ルミナスの視界が歪む


わかっていたことだ


自分で言ったじゃないか


なのにどうして……


ルミナスの頬を温かい何かが伝った


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