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一章 出逢い (1/6)
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「何も知らないのか?」
清の説明に嘆息する。
まあ、これは自分のせいもある。
通常なら、あと25年は目覚める予定ではなかったのだから。
きっとその間に伝えるつもりだったんだろう。
「しかたない。謝る必要はないから」
でも、面倒ではあるな。
しかも奈海と同じく湊は力が強いのだ。
まあ、嘘をつく必要はないが、自分が何者なのかを自ら語ることなど久しくないことだった。
「やはり、私が一通り説明を致します」
そう告げたのは直之。
奈海の夫だと紹介されていた。
一族のものではないが、落ち着いた雰囲気と柔らかい笑みに、好ましい印象を受けた。
直之は奈海にも清からもきちんと自分の存在を聞いていたらしく、今はすすんでこの社を守ってくれているようだ。
普通ではない自分の存在を受け入れる度量の広さだけでも、感服に値するだろう。
やはり奈海の選んだ者なだけはある。
思わず笑みを浮かべる。
直之は、それから様子を見て引き合わせると言うので、首を振る。
「まどろっこしい。会ってしまえば何とでもなるだろう。説明も自分でする」
結局は時間をおくのが嫌と言うだけで、そう告げた。
早く奈海の息子に会いたかった。
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