発覚(1/22)
真っ赤に染まった視界には、タバコをふかす男が3人映る。
落ちてしまいそうなほど朦朧とした意識の中、忘れないようにと目に焼き付けた。
1人は、闇に溶け込むような黒髪に銀色がところどころ目立つ男。
1人は、黒に近いダークブラウンの髪を夜風に遊ばせる男。
1人は、鮮やかすぎる白銀をくしゃりと片手でかきあげた男。
圧倒的強さでやり返す暇もなく俺達は地面へと叩き伏せられた。
近くに倒れ込む仲間の1人の足は関節とは逆へと曲がっていて、気絶してしまう前の悲痛な叫び声が耳から離れない。
幹部の皆さんに報告しなければいけないのに、俺の身体は指先一つ動かすことも叶わないんだ。
「お前ら……誰だよっ」
思ったよりも掠れた声に、ダークブラウンの髪の男は面白そうに笑う。
「誰って、閻魔とか?」
「……ちげぇ、だろ」
閻魔は、一週間前学校へと攻めてきた暴走族だが、それとは明らかに何かが違う。
それが、何かって言われたら説明できないけど、俺の野生の勘的なのがそう言っていて。
「まあ、違うけど」
そう答えながらタバコを地面に落として靴で踏む音がする。
ああ、やべえ。もう無理かも。
額から流れ出る血が体温を奪っていくせいで、視界がゆがむ。
「最後まで頑張った君にご褒美をあげる」
クスクスと笑う声が頭の上でして、誰かがしゃがみこんだのに数秒遅れて気がついた。
「俺達はヴォイド。忘れないで」
薄れていく意識の中、聞き取れたのはその言葉だけ。
「おい、いいのかよ?」
「いいでしょ。そろそろあっちも動き出しそうだし」
「まあ、それはそうだけど」
「……帰るぞ」
3人の会話を聞くことは出来なかった。
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