Secret


prologue(1/3)




ネオンボードの光が鈍く輝く、華やか過ぎる夜の繁華街。


空に浮かぶ星たちの光は街の輝きに負けて霞んでしまっていた。



街を歩く人々の喧騒。


煌びやかな店から聞こえてくる音楽。


怒鳴り声と肉を打つ不気味な音。



誰もが路地裏の暗闇に吸い込まれないように、早足で通り過ぎていく。



そんな暗闇に好んで身を置く男がそこにはいた。



夜の闇に溶け込むような漆黒の髪と瞳を持つのは、この街を牛耳る暴走族のトップ。



そして、彼を目の前にして立ち向かうのは、焦点の合わない男達だった。



「ぶっ殺せぇぇ!」



誰かが雄叫びをあげると、フラフラとした足取りで殴りかかる男。



冷めた瞳がバカにしたように揺らぎ、次の瞬間には壁に男は叩きつけられていて。



「グッ」



くぐもった声を最後に、男は気を失った。


力の差は歴然だった。



「なっ、舐めんじゃねぇぞ!!」

「おらァ」



1対5。



明らかに不利なのは漆黒の男だが、それをものともしない様子で男は、軽やかなステップでも踏むように狭い路地裏で存分に遊んでいた。








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