ネットで調べてみたんだ
僕という人間はあまりにも他人が苦手で、上手く社会に溶け込めない、いわゆる【社会不適合者】という奴かも知れない。
昔から何をやってもダメな奴だった
勉強は嫌いでいつも鉛筆を握る事から逃げてきた
もちろんスポーツも熱心に打ち込んだ事もない
人と話せばどもる一方でなかなか上手く人と話す事も出来ない
顔は…きっと普通であってくれと、そう願うばかりだ
僕には、取り柄が無い
何時でも虚勢ばかり張って
自分を装う事に必死で。
そんな自分と不平等な世の中への不満が溜まり過ぎていたので、唯一親密な関係にある彼にわざと嫌味な言葉を投げつけた
「常々思うよ、出来れば人の幸せは見たくないものだ。僕は物事素直に喜べない卑屈な人間だからね。」
『?うん』
「僕に不幸が訪れる傍ら、満たされた人間が笑顔で通り過ぎる事が不愉快でしょうがない。」
『へぇ?』
「君も同類だよ。僕は人に好かれなくて取り柄もなくて顔や容姿も…なのに夕(ゆう)、お前は」
段々と喋ってる内に僕は僕の事が虚しくなって口を閉じた
『お前は何時まで思春期を延長する気なんだよ。そろそろ延滞料金払った方がいいんじゃねーの?』
「ほんと癪に障るな。お前に話すといつもこうだ、ムカつく。」
わかってるんだ。
わかってるのについつい話してしまう
僕にはこいつしか話し相手がいないから、唯一素を出せるから依存せざるを得ないんだ。
いつもの事ながら不貞腐れる僕をよそにアイツは鼻歌を歌い出す
「おい、慰めてくんねーのかよ」
『ん〜光(ひかる)くんもう気は晴れたかい?』
「…お陰様で」
僕は自分の名前が嫌いだ。
何でこんな根暗で地味で冴えない人間に、【光】だなんてさも戒めかのような残酷な名前が付いたんだろう
夕みたいな楽天的で周りに人が集まってきて…それにかっこよくてモテる奴に付けるべきだ
人はおそらく名を持った所で所詮、大勢の人間を見分ける為の区別にすぎないだろう
何かを願ったところできっと荷が重くなるばかりだ
もういっその事この身体に個体識別チップでも埋め込んでさ?無言でスキャンしてくれよ…
『…おーい。さっきから何ボーッとしてんの?』
「何でもない、ちょっと考え事してた」
『もっとこう、何て言うかさぁ?光は何でも頭で物事考えすぎなんだよ。少しは楽に生きようぜ?』
「無理。逆に考えずに生きれる方法教えて」
『よし!まぁ機嫌なおせ!気分転換にいつものとこ行こうぜ!』
「ふん、しょうがないから付き合ってあげるかな」
僕は夕に悪態をつきながら、渋々付き合う振りをしてみせた
ほんとはこんな自分と一緒に居てくれる夕の存在が、ただただ心地よくて嬉しかった。