東方黄明譚
[変異と式神](1/8)
…ううん、あれ…僕、熊と戦ってて…なんで自分の部屋に?
倒れる前の事をゆっくり思い出し…藍様に運んで貰ったんだと推測した。
身体を起こそうとするが、やけにお腹のあたりが重い。
…というか、自分のじゃない寝息が聞こえるんだけど。
「…すー…」
「橙かな…うーん…」
「橙、黄の身体を拭くのは…って、こら」
「あう!?す、すいませんでした!」
「まったく…まだ目を覚まさないか…もう五日経っているというのに」
…そんなに経ってたのか!道理で身体がやけに重いし空腹が半端じゃないと思ったわ…。
「…ん、うーん…」
「…!黄、目が覚めたか!」
「ええ…すいません…」
「いや、いいんだ。身体は起こせるか?」
藍様と橙に支えられながら、身体を起こす。…まだクラクラしているので立てそうには無いか。
「黄、あそこで一体何があったか聞かせてくれるか?」
「はい、でもその前に…紫様にも伝えたいので…」
「そうだな…すぐに呼ぼう」
「その必要は無いわ。もう居るもの」
声に気づいて振り返ったら、紫様が既に座っていた。
「藍が叫んだからすぐに分かったわよ、起きたのは。…藍、もうちょっと落ち着くように。起こされて突然そのテンションだと相手が困るわよ?」
「…すいません」
「さてと…じゃあ、何があったか聞かせてくれる?」
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