この想い君に届け
[番外編〜昼休み〜](1/3)
〜鈴side〜



「す〜ずっ

ご飯終わった?」

先輩は毎日一年生の教室に通い続けてくれている

ご飯を食べるのはクラスの友達と。
先輩は、自分と食べると私が浮いてしまうんじゃないかって事を心配して、ご飯を食べ終わった頃に迎えに来てくれる
すぐに出られる準備をして待っていたところだった


「終わりましたよ」

「じゃ、行こっか

ミエちゃん、ユミちゃん

すず、お借りします」

先輩は友達に向かってぺこっと頭を下げる


「「どーぞどーぞ

いってらっしゃーい」」



ミエちゃんとユミちゃんは、私と先輩を笑顔で送り出してくれる


「いってきます」


私はこの時間が好き




──────────




お昼休みはだいたい図書室

他の生徒はまばらで、意外と広い空間なので少しくらい話していても平気

今日も数人生徒が雑談している

「すず、座る?」

「座ります」

ギギ…っと少し重い図書室の椅子を引いて隣同士に座った

「すず、今日
四限体育だったでしょ?」

「体育でした」

そう、嫌いな体育


「サッカーやってたでしょ?
教室から見えた」

「見えたんですか」

そういえば窓際の席だって言っていたっけ


「うん、俺、すずの事は
すぐ見付けられるから」

「…そ、ですか」



どこまで見られていたんだろうか


「転んでたね、大丈夫だった?」

「…それも見てたんですね…」

ボール追いかけて蹴ろうとしたところ、足がもつれて転んだんだ
そんな場面見られるなんて最悪だ、恥ずかしすぎる
机に頭をつけて赤くなっているであろう顔を隠した


「ふっ、

でもすぐに立ち上がって走り出したから安心した、
ほんっと真面目だよね、すずは」



先輩も私の方を見ながら机に伏せて、えらいえらい、と言いながら私の頭をそっと撫でた


撫でられた拍子にピクッと反応して先輩の方を向くと、バチッと視線が合った


「…は、恥ずかしいです…」

転んだの見られたことも
今、見つめられていることも


「…かぁーわいっ」

「っ!?」

さっきまで優しく撫でていた手が、わしゃわしゃと髪を乱した





「…よし、そろそろ戻ろうかっ」

先輩は、プイッと横を向きながらそう言った
いつもより戻るのが早い気がするし、もう少し一緒にいたいな…と思いながら、先輩をじっと見る


「………」

あれ…?なんか…


「……ん?ど、かした?」


「…柳澤先輩…

今…

顔、真っ赤ですよ」

冷静を装っているつもりだったんだろうけど、どんどん赤くなっている


「…うるさい…言うな…」


「かわいいです」

そう言い終わると、みるみるうちに耳と首まで赤くなってきてる


「…やめろ…」









「ふふっ

可愛い柳澤先輩も好きですよ」


「はー…

…俺も

体育嫌いなすずも好きだよ」

今日は不意打ち食らった…と先輩が呟いたのが聞こえた



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