兵部卿物語
[第五章](1/4)


来る日も来る日もあの人は私の元を訪れた


またズルズルと関係を引きずってしまう


それを選んだのも私


分かってる


貴方の心が思うままにならないことなんて


また、貴方から離れられなくなるのが怖い


分かってるのに離れたくない


「やっぱり、貴方のことが好きだ」


お願い、そんな顔を私を見ないで


期待してしまうから


「私も愛してるわ」


「また隠れ家用意したんだ、そこで暮らさないかい?」


宮の言葉に小さく微笑む


ホッとしたように宮の表情が緩んだ


「良かった」


ねぇ、いつから貴方はそんな瞳で私を見つめるようになったの?


分かっているの?


貴方は平気で抱き締めるけど


その度に私の胸がどれだけ締めつけられるか


触れられた肩がどれだけ熱くなるのか


貴方と香りや温もりの中にいることを


どれだけ幸せを感じているか






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