彼はカレの友達
[プチ引っ越し(仮題)](1/16)
「俺、1階に住んでるし、うちはバリアフリーだから、住みやすいと思うんだ。
あ、沙耶ちゃんがいる間は、実家に帰るから。もちろん、大学や病院の送り迎えもするから、安心して?」

「そこまでしてもらうわけにいきません。」

「俺はしたいんだけど、そう思ったり、したりすることは、沙耶ちゃんの負担になる?」

心配そうに、わたしの顔を覗きこむ。

「ありがたいし、嬉しいですけど…」

「けど?」

「そこまでしてもらう理由がありません。」

佳樹先輩には、いつもしてもらってばかりで、わたしは何もしてあげられてない。

「理由は、俺が沙耶ちゃんを好きだから。
それじゃダメ?
好きな人が困ってたり、悲しんだりすると、俺も辛いから。」

優しい眼差しでわたしを見る佳樹先輩。

胸が熱くなった。

「では、お世話になります。」

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