彼はカレの友達
[プチ引っ越し(仮題)](1/16)
「俺、1階に住んでるし、うちはバリアフリーだから、住みやすいと思うんだ。
あ、沙耶ちゃんがいる間は、実家に帰るから。もちろん、大学や病院の送り迎えもするから、安心して?」
「そこまでしてもらうわけにいきません。」
「俺はしたいんだけど、そう思ったり、したりすることは、沙耶ちゃんの負担になる?」
心配そうに、わたしの顔を覗きこむ。
「ありがたいし、嬉しいですけど…」
「けど?」
「そこまでしてもらう理由がありません。」
佳樹先輩には、いつもしてもらってばかりで、わたしは何もしてあげられてない。
「理由は、俺が沙耶ちゃんを好きだから。
それじゃダメ?
好きな人が困ってたり、悲しんだりすると、俺も辛いから。」
優しい眼差しでわたしを見る佳樹先輩。
胸が熱くなった。
「では、お世話になります。」
- 113 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
⇒作品レビュー
⇒モバスペBook
[編集]
[←戻る]