彼はカレの友達
[思い込み,誤解](1/2)
美術館は、公園入り口から徒歩5分のところにあった。
エントランスまでの幅の広い階段を上っていると、前方に潤くんの姿が見えた。
わたしには気づいてない。
嬉しくなって、真っ直ぐ駆け寄ろうとすると、中から女の人が出てきて、潤くんに微笑みかけながら、腕を絡めた。
あの人、あの時の…。
二人は階段を下りてきて、わたしに気づいた潤くんが、
「沙耶…ちゃん。」
と言った。
隣のキレイな女の人は、
「知り合い?」
と潤くんに訊く。
潤くんは、わたしにツーショットを見られているにも拘わらず、取り乱したり焦ったりする様子もない。
「サークルの後輩の黒木沙耶ちゃん。」
「こんにちは、黒木です。」
なんでわたし、挨拶してるんだろう。
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