アイリス
冬ですね(1/24)






たーちゃんが転校して約二ヶ月が経とうとしていた。
街はすっかりクリスマスモードだ。



「…ひ〜、寒い」



登下校の自転車も、風が耳を連れ去りそうなくらい冷たいから辛い。
だから最近は耳当てをしてる。

なのにチョコくんは余裕そうな顔で、今日も安定の荷台に腰掛けて鼻歌を歌っている。



『ハイハイ頑張って〜』

「チョコくん、そんなパーカー一枚で寒くないの!?」

『え、だってオレ幽霊だよ?寒さなんて感じないもん』

「……そっか」



冷静に考えれば、チョコくんってこんなんだけど一応幽霊なんだよね。
怖くもなんともないけど。



「この寒さを今すぐにでも感じさせてやりたい…」

『何で生きてる人間が幽霊を恨んでるの…普通逆でしょ』

「だってこんな寒いのに〜!!」

『幽霊の特権。あははっ』



いたずらっぽくチョコくんは笑う。

実はチョコくんっていたずら好きだよね。
最初はめちゃめちゃ優しいジェントルメンだったけど、段々と素顔を表せてきた。

この人…生きてた時は結構モテてそうだなぁ。



『もう12月かあ…早いね』

「うん!楽しみ!」

『え、何が?』






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