□進むための決断 (1/3)
茜との楽しい時間は
あっという間に過ぎて、
その日の夜、茜からメールが来た。
《今日は楽しかったね!付き合ってくれてありがとう。写メ送るねーっ》
メールと一緒に添付されていたファイルを開くと、今日二人でサングラスをかけて撮った時の私と茜が写っていた。
私よりもかなり小さい茜。
私たちの身長差は10センチ以上ある。
背丈だけ見ると確かに男と女なのに。
スカートを履いている私。
気持ち悪い。
ふと、前に両親からもらった、机の上の紙を見た。
《性転換手術について》
そこにそう書かれた文字を私は、じっと見つめる。
実はあの日から、私は決められないでいた。
ずっと夢に見ていたことなのに、その夢を目の前にすると、怖くなった。
茜は きっと
私のことを女友達として
私にしか打ち明けられないことも、私にしか見せない顔も、見せてきたんだと思う。
それを私が 男としてずっと付き合って来たなんて言ったら、茜を裏切ったことになるんじゃないかって。
もう一生今日みたいに
一緒に笑える日がこなくなるんじゃないかって。
だから私は この夢から
逃げようとしてた。
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