ピンキー!
0.なおちゃん(1/12)





ピンポーン









「おかあさーん、誰か来たよー!」








ピンポーン




「おかあさーん!!!」








いつもならいるはずのお母さんがいなくて、慌ててリビングのインターフォンに駆け寄る。


手を上げるけど、かすめる程度。






ピンポーン




「わっ、ちょっと、待って…」






キッチンの隅に置かれた赤い踏み台を引きずって、それに登る。


ようやく届いたボタンを押すと、真っ暗だった画面に一人の男の子が映った。









「はい、須賀です」




俯きながら青いスニーカーで地面を蹴っていた男の子が、パッとこっちを向いた。








『こんにちは、隣に引っ越してきた直嶋です』













息が止まった気がした。







真っ黒に日焼けした肌

白いタンクトップ

眉毛にかかるほどの真っ黒い前髪が、汗で額にくっついていて……





向こうからは見えていないだろうインターフォン越しの私に、大きな口を開けてニカっとイタズラそうに笑った。











なおちゃん、小学三年生

私、小学一年生





初めて見たその時から、私はなおちゃんが好きだった。


一目惚れだった。








← *|# →

しおり
/678 n



⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?


BACK