君の声
[文化祭](1/20)

テストも無事終わり、赤点を1つもとらなかったとめぐさんに感謝されてから数日、私たちの学校は文化祭の準備に追われていた。

私のクラスでやるのは喫茶店。私はウェイトレスは出来ないので調理係にまわることになった。

調理係は料理のメニューとか決めたら特にやることもないので、大道具の作製の手伝いをすることにした。

「赤のペンキどこー?」

「マジック足りないね。借りてくるー」

「のりこっちにちょーだい」

「いってぇー、金鎚で打った…」

「お前馬鹿だろ」

「釘足りないよー」

「買い出し行くけどなんか必要なものある?」

「腹へったー」

教室の中は色々な会話が混ざっていて、聞いているだけでも楽しかった。出来ることなら、私も会話に混ざりたい。
だけど声の出ない私は、蘭さんや優さん以外のクラスメイトとはどうしても話し難い。
このままでは駄目だとは分かっているけど、やっぱり怖い。



中学の頃は、クラスメイト全員に無視されていていつも1人だったから、話しかけたら迷惑に思うんじゃないかっていう後ろ向きな考えが出てくる。蘭さんは「そんなことないよ」って笑って言ってくれたけど……。
文化祭の準備の時だって、私は邪魔者扱いされていたから何1つやらせてはもらえなかった。だから文化祭には楽しい思い出なんてない。


でも、今は違う。

雪夜さんに出会って、夾さんやめぐさんに雄大さん、それに蘭さんや優さんにも会えた。
今は、私のそばに居てくれる人たちが居る。だから、寂しくなんてない。

高校初めての文化祭、楽しみだな。



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