君の声
[出逢い](1/9)
読み終わって本を閉じる。ちらっと窓の外を見ると、生徒がちらほらと校舎に向かって歩いてくるのが分かった。ああ、もうそんな時間か。
ガラッと教室のドアが開く。そっちの方を見ると、男子が2人いた。私を見て気まずそうな顔をした後、2人は少し喋って入りかけていた教室を出て行った。
(そんなに気まずい顔しなくても良いのに………)
クラスメイト達は私が喋れないことを知って、まるで私を腫れ物のように扱っている。いじめられないことはいいけど、なんとなく嫌だ。
クラスメイト達からの視線は同情とか、面倒臭いなとか、そんな感じのものばかり。
同情なんて要らない。そんなものを持つよりだったら、私と関わりを持たないで。
裏切られるのはもう、嫌だから。
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