迷走少女。
[プロローグ](1/1)


 世界は限りなく理不尽だ。

 世界は限りなく退屈だ。
 
なんて、限りなくありきたりな事を呟く。
 それは俺の人生がありきたりなもので、どうしようもなく意味を持たないから、俺の発する全ての言葉にも意味が無い、という訳ではない。
 
 小難しいことを言ったのだが、何が言いたいのかはわからない。多分、意味なんて無いのだろう。
 つまり結論を言ってしまうと、人間なんて結局、自分の言ってることなんて理解していない。絶対に。うん、それが言いたかった。
 別に今更、自分の価値の無さに嘆きなんてしないし、ヒーローになれないことに拗ねたりもしない。

 ただ寂しいと、
 退屈だと感じるだけだ。
 
   俺は平凡な人生を過ごしてきた。有名になるでもなく、ドラマになるような劇的な人生を歩んできてもいなかった。
 そりゃあ、人並みに悲しいことくらいは経験したが、それだってひどく、つまらないものだ。この世は人と人の格差がありすぎる。どこぞのバカヤロウが世界の「台本」というものを書き変えたに違いないとさえ思える。
 退屈だ。
 何もない日常が。
 そしてなにより、現状を変えようと行動を起こさない自分がつまらない。どうやら俺は世間で言う保守的な人間のようだ。
 世界に与える影響なんて皆無であると断言できる。
 そんなつまらない俺の人生が変わったのは、本当に些細で、本当に小さな偶然が積み重なった、ある日のことだった。俗に言うと、俺は人
生をつまらないと思うことで、無意識のうちにフラグを立ててしまっていたらしい。
 しかも、何もかもが変わってしまうような重大な、人生での分岐点を間違えてしまったと、今更後悔しても遅いそうで・・・。
 セーブができないあたり、やっぱり世界は理不尽だ。

    まず手始めに、俺の人生を変えた一人の少女の話をしていこうかと思う。


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