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[バレンタイン企画](1/4)
まだ、肌寒い季節。
町の中は、ハートやピンクのチラシが貼り出され、もうじきバレンタインの季節だと感じさせる。

視線に飛び込んできた、可愛い包み紙や、甘いチョコを買い求める女子の姿に、自分もそろそろ、何を作ろうか考えないとな。と、思いながらも、帰宅する為に足を動かした。

帰宅して、乱暴にカバンを放り投げ、手にしたチョコのレシピ。パラパラと見て、パタリと閉じた。

去年のバレンタインを思い出し、ため息を一つ落とした。


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去年のバレンタイン。
私は、憧れの先輩にチョコを手渡そうとして居たんだ。しかし、そんな日に限って、委員会やら、係の仕事に追われ、いつもより帰りが遅くなってしまった。
昼休みに渡せば良かったのだが、帰りでいいかな。と思ったのは、自分だし、そんな事を考えても、過ぎ去ってしまったのだから仕方ない。

先輩にチョコを渡すために、電車に駆け込み、先輩の最寄り駅で降りた。そして、先輩がいつも持っているカバンが見えて、急いで追いかけた。
そして、ようやく追いついた彼に、チョコを渡したのだが、

「え?くれんの?」

と、憧れの先輩とは違う声に、訳が分からずに顔を上げた。

相手の手には、先輩と同じメーカーのカバン。しかし、顔を見れば、全く違う人。

「誰?」

声をかけたのは、自分だし、失礼な事も承知している。しかし、目の前の人物を全く知らなかった。

「あぁ?俺?植村伊織だけど?」

植村?伊織?

そして、思い出したんだ。


学校一、不良だと有名な生徒の名をーーー

彼の名は、植村伊織。

つまり、目の前の人物の事である。










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