天使くんは極道でした。

15.[       君のいない世界](1/10)






―――――
―――…




『今日は風が冷たく、
真冬並みの寒さになるでしょう。


それでは関東のお天気です。

東京は――――』



ブツン




リモコンで無造作に
テレビの電源を切る。


真冬並みの寒さか。

どうりで今日は底冷えするわけだ。



私はもぐもぐと頬張っていた食パンを
ごくりと飲み込んだ。





「……っやば!行かなきゃ!」


時計を確認して
慌ててブレザーを着込むと、急いで外に出た。








「…………………寒………」




なるほど確かに、外は凍える寒さだ。






********




「ちーあきぃー!!おっはよ!」

「わ、おはよ!」


「センターまでもう60日くらいらしいよ〜」

「えっ!!うそでしょ!?」


「ホントホント!!やばいよね〜」



学校に着いて早々、
友達にそんなことを言われて
私は黒板に書かれた日付に目をやる。





「11月21日………」



そりゃあ寒くもなる、か。





「そうだ千晶!

今日最終進路調査だよ。
ちゃんと覚えてる?」


「さすがにこの時期に忘れないって!」




それもそうかぁ、と笑う友達に

私も何となく笑顔で返した。












空がいなくなってからしばらく。


早いもので、冬が訪れていた。




学校は
空がいた頃と何ら変わりなく


粛々と時を刻んでいる。






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