天使くんは極道でした。
11.[ 『天使くん』の決意とその先](1/20)
―――――
「!? てめえらっ!!
一体何の用だ!!?」
「抜け抜けと訪ねてきてんじゃねえぞコラ!!!!!!
てめえら自分の立場
わかってんのかぁ!!?」
……突然だった。
玄関の方から、
組員の人たちのそんな怒声が響いた。
「………?」
片桐さんがギラリと目を細める。
「ど、どうしたんでしょうか…?」
「ちょっと見て来ます。
姐さんはここにいて」
「………わ、私も行っちゃ駄目ですか!?」
今までとは打って変わった
私の態度に驚いたのか、
片桐さんは眉間にしわを寄せたまま私を見る。
「行かせてください――!!」
もう一度。
強い瞳で片桐さんを見つめる。
「………お好きになさって下せえ」
すると彼は観念したようにそう言って
さっと踵を返した。
私もそれを追う。
組中の人が全員玄関に向かっているようだった。
ドタバタと廊下を走る音と
男の人の太い怒声が響き渡っている。
「………っ」
組員さんたちを掻き分けながら進む
片桐さんに続きながら、
空の笑顔だけを頭に浮かべた。
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