天使くんは極道でした。

09.[     『天使くん』と動乱](1/35)






―――――
――



結局、この一週間を
どう過ごすかという問いに対しての
正しい答えは見つからないまま


………とうとう明日に、

空と島津組との会談の日が迫った。




あれから、空とは特に
このことに関して話していない。


むしろお互いに
この話題を避けていた。

何だかいつも通りでいたくて。

私と空の関係だけは、何があっても変わらない。
そう信じたかったのもあって。






まだ夜が明けたばかりで
辺りは薄っすらと白んでいる程度。

初夏とはいえまだ朝方は冷える。


はぁ、と小さくため息をついて

私は今日も
お弁当と朝食作りのために勝手場に向かった。




―――ふと、
その向かう先で物音がした。

玄関の方からだ。



「(こんな時間に誰……?)」


なに………!!?


まだこんな時間なのに、
何故物音がするのだろう。



はっ!

まさか、夜な夜な女性のところに
秘密裏に通っている
組員の方がいらっしゃるのでは……?


ひっそり重ねられる会瀬だなんて…っ



「なんてロマンチック………!!」




いかんいかん

そういうことならきっちり
そのロマンチストの顔を
拝んでおかなければ!


抜き足差し足、私は玄関に向かうことにした。





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