天使くんは極道でした。

04.[  『鮫島空』と『天使くん』](1/15)





―――――side 空

―――
―…




しばらく歩くと、
見慣れた黒塗りの車が
停まっているのが見えた。

車の外にはまたまた見慣れた
スキンヘッドがいる。


片桐は俺に目を向けると、少し険しい顔をした。




……笑う余裕もないってことかな。







「俺はいいから千晶送ってあげてよ」




さっきの千晶の泣きそうな顔が
鮮明に頭をよぎる。


―――あんな顔させたいんじゃないのに。




俺はいつも、千晶を悲しませてしまう。





「………坊っちゃん、
お気持ちはわかりやすが
今はそれどころじゃ…」



今すぐにでも車を出したいというように、
片桐はさっと後部座席のドアを開けた。




「………わかってるよ。」



よいしょ、と車に乗り込むと、
片桐はさっさとドアを閉めると
自分も車に乗り込む。

そして言葉も発することなく車を出した。




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