天使くんは極道でした。
02.[『天使くん』の正体を知った日](1/7)
『なんだぁ?
エラいふわふわした
坊っちゃんじゃねえか。
怖いもの知らずによく
俺様に楯突いたな?』
『たてついてません。呼んだだけ』
その天使はへらっとそんなことを言う。
……あの子もうちの制服来てるし、
校章の色―――
私と同じ、一年生だっっ!!
たっ、助けてくれたのは嬉しいけど
この子じゃ絶対この人には勝てないよ…!
(こんな可愛い顔してるし!!)
巻き込んじゃうなんて申し訳なさすぎるっ
『にっ、逃げて!!そこの『天使くん』!!!!』
思わず私はそう叫んでいた。
――『天使くん』って。
すごい呼び掛けだったなって
今では思う。
だ、だって名前も知らなかったし……
案の定、私の『天使くん』発言に
その子は顔をくしゃっとして笑った。
『『天使くん』だって。
はじめていわれた。』
………そ、そりゃそうでしょうよ…。
ふにゃりと笑う天使くんを見ていたら、
さっきまでの恐怖が
どっかに飛んでいっちゃったみたいだった。
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