私は彼の所有物
[Special Thanks #1](1/3)







……ん」


白いベッドの上。
グレー色のブラレットとグレー色のショーツが私の目に映る。
ブラレットはシースルーになりそうなギリギリの透けさで編まれたレースの物。
一応、突起の部分は見えないけれどセクシーに変わりは無い。
それに羽織るのはケイさんのシャツ。
カーキのそのシャツはさっきまでケイさんが着ていた物。
グレーの下着にカーキのシャツ。
トータルコーディネートは完璧だった。

そんな私はケイさんに足の甲にキスをされ、ピクッと体を震わせた。


「気持ちいいのは分かるけど動かないでくれる?」

……分かっているならキスしないでください」

「ちょっと無理なお願いかな」


視界の暴力だった。

上半身裸、黒のスキニーパンツだけを華麗に着こなし煙草を咥えた藤井ケイさん。
そのケイさんは私の足の爪に赤いマニキュアを塗っていく。

久々に塗って貰っているペディキュア。
器用にこなしてしまうケイさんは、私をチラッと見る。
髪の毛をかきあげながら、私を見つめるその死んだ魚のような眼。

この眼にはいつだって慣れない。


……出来た」

「ありがとうございます」

「乾くまで動かないで」

「分かってます」


ケイさんはベッドの上に置かれた灰皿に煙草の灰をトンッと落とす。
そして、マニキュアの蓋を閉めた。
中性的なその指はいつだって私を翻弄する。

綺麗に塗られたマニキュア。
少しの間、私はこのベッドの上に軟禁だ。

マニキュアのボトルを放り出したケイさんは、私の方に少しずつ距離を縮めてきた。
そして、私の唇にちゅぅと吸い付く。
私の上唇を自分の唇で挟みこんだ。


……どう?楽しんでる?」

「さっきも言いましたけど、ケイさんってほんとに変態ですね」


唇が離れ、鼻がこすれあうようなその距離で話をする。
私とケイさんの関係は一定の距離を保ちながら、それでも変わっていった。
私はケイさんの顔を見ながら“変態”と呟けるようになった。


「君に変態って言われると褒められてるみたいだけど」

「褒めてはないです」


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