私は彼の所有物
[彼は、欺き嘲笑う。](1/14)
「よくそんな物見ながら食事なんて出来ますね……」
私はもう見飽きたその光景に少しだけ溜め息をついてから身支度を整える。
春一番が吹き荒れた時期を過ごし終えた私とケイさん。
ついにアトリエの小さな冷蔵庫に肉が常備されるようになった。
でもそれを食べるのは私でもケイさんでも無い。
……そう、なにかがアトリエに転がり込んだ。
「エロくない?」
ケイさんのエロいの基準が分からない。
ケイさんの目線の先には、マウスを飲み込む蛇が2匹。
私が解凍したマウスを丸飲みするその2匹がアトリエに転がり込んだ子たちだ。
冷蔵庫には大量の凍り付けされたマウスが何体もいる。
メキシカンブラックキングスネークという種類らしい、1匹。
黒光りというよりはマットに仕上げられた蛇。
真っ黒のそれはマウスを飲み込んだあたりが、パンパンに膨らんでいる。
もう1匹は反対に真っ白な蛇だった。
アオダイショウのアルビノ。
こちらもマットな質感で、赤い目が印象的。
白と黒の蛇をケイさんが買ってきた時には目が点になった。
撮影用の道具だと説明されても具体的にどう使うのか分からず首を傾げた。
でも、すぐに分かる。
脚に這わせたり、腕に巻き付けたりという撮影だった。
初めは怖かったけれど、ケイさんの無茶振りには時間の流れと共に慣れていき、今では簡単に体に這わせられるようになった。
そんな真っ黒と真っ白の蛇が女の体を這う写真はかなり評判が良い。
蛇を可愛いと思う余裕も出てきた。
けれど、流石にマウスを飲み込むシーンを見ながら白米は食べられない。
ボサボサの髪の毛で、ケージに入っている蛇を見ながら白米を口に入れるケイさんを見つめる。
やっぱりこの人は人として欠陥があると思う。
「……君は土曜だってのに忙しそうだね」
「高城さんたちと撮影です」
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