私は彼の所有物
[彼は写真にしか興味が無い](1/28)
*
「菜緒ちゃん、こっち向いて!」
指示され、カメラマンとカメラに目を向ける。
その瞬間にカシャっと音がした。
私の学校は、多くのデザイナー、スタイリスト
そして、写真家はたまたメイクアップアーティストを輩出。
その恩恵をうけ、機材などに困った事はない。
今も、プロ顔負けのスタジオで撮影を行っている。
純くんがカメラマン、私がモデル。
「可愛いよ、菜緒ちゃん」
恋人かと思ってしまうぐらい、さっきから純くんに褒められている。
中性的な格好から、純くんが作った綺麗な衣装に着替る。
メイクも綺麗にしてもらった。
着飾った姿でカメラを向けられるのは初めて。
いつもメイク無しの裸だから。
「ちょっと腕上げて……うんそんな感じ
そしたら、こっち睨める?」
「睨む…?」
「あ!それ今睨んでる!」
またシャッター音が聞こえる。
私は素人丸出しでぎこちない格好をするだけ。
本当に綺麗に撮れているのかな?
「菜緒ちゃん、どこかで撮ってもらった事ある?」
「…え?」
「撮られ慣れてるって感じ」
「そんな事無いよ」
「今の困って微笑んだの可愛い」
「今、私笑った?」
自分が無意識に笑ったのを撮られたなら、恥ずかしい。
純くんは、小さく笑って頷いた。
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