〜新井朔の禁欲的恋の日々〜
[チョコレートは恋の味?!](2/36)

朔は、流しの前に立ちながら、ガスコンロにやかんで湯を沸かすと、インスタントのコーヒーをスプーンで掬いマグカップに入れた。

そして、お湯が沸くと、カップに注ぎ、昨日買ってきた菓子パンと共に、自分のデスクへ、食べるために運んだ。


昨日彼女に貰ったチョコレート


朔はふと思い出したように、クローゼットに向かうとスーツのポケットからそれを取り出した。

疲れているときには甘いものがいいらしい。だから、チョコレート

ただ、本当にそれだけだったんだろうか?


メーカーの印字が入った銀紙に包まれたそれは、一見何の変哲もないチョコレート菓子だった。

女性社員の比率が高い朔の職場では、お菓子を貰うことは度々あったが、

どうも、この一粒には違う意味が込められているような。

朔にはそう思えてならなかった。

だから、昨日は頂かず落ち着いてじっくり味わって食べたかったのだ。


コーヒーとパンを食し、一息ついてから銀紙を外すと

人差し指に摘まみ、それを舌に乗せた。

チョコレートは甘い

そんな当たり前のことは誰もが知っている。

しかし、彼女に貰ったからだろうか、

そのミルクチョコレートは、


甘く


少し苦かった。



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