酔ったあんたが見たい
[酩酊](1/24)


「えー宴もたけなわではございますが、そろそろお開きにしようと思いまぁす!」


幹事の園田さんがそう言うと皆立ち上がり、一本締めをした。

この後は適当なカラオケ屋に入り、二次会の予定らしい。
帰り支度を始める者、行くかどうかを悩む者、泥酔し倒れこんでいる者。

二次会に行くほどの元気も無かったので、俺もそろそろ帰ろうかと出口へ急いだ。

しかし、もう少しで店を出そうな所で残念ながら同期の野坂に捕まる。

ひどく酔っている野坂は、呂律が回らない口でこう言った。


「アッシー二次会いくだろぉ!また家までよろしく!」


「……あ、はは。そうだね〜」


アッシーとは俺のあだ名だ。
芦田 智和 25歳。
このあだ名は、飲み会の後にタクシーや自分の車で人を家まで送迎する役目という意味がある。


俺はひどく下戸で、飲み会に参加しても酒は一滴も飲まない。
その事からアッシーに選ばれたのだ。






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