夢幻華
離愁 (1/46)






あれからひと月―――
 
 

沖田とは毎晩同じ部屋で過ごしている。
あの日から喧嘩もなく二人は絆を深めていった。
  
 

「もう十月かぁ……。年越しも二人で過ごそうねー」 
 
 
 
縁側で団子を口に入れ幸せそうな沖田の隣で愛流は頷く。
 
甘いものを食べている時の沖田は堪らなく可愛い。見ているだけで頬が緩む。

 
   
「今年だけじゃなくて十年、二十年……ずっと一緒に新年迎えたいなぁ」
 
  

沖田は小指を愛流の前にかざす。

何の事か分からず首を傾げると、手を捕まれ指切りをしてきた。
 
 

「愛流とずっと一緒にいれますように。これで大丈夫!」
 

 
子供のような顔で笑う沖田を見ているだけで幸せになれた。

愛流に沢山の喜びを教えてくれる。
 

 
「約束だよ?わたしだけを見ててね?浮気は駄目だから!」


 
沖田からすればそんなものするはずもない、したくもない。
 
愛流だけが自分を癒してくれるたった一人の存在なのだから。


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