みりたりーまじっく!
[第7話 僕はこの世界で奮闘します。](1/89)
「ね? 分かったでしょ。 私はそういう人間なんです。 いつ誰かを殺めるかも分からない、危険な存在なんです」
ふぅ、と。
話は終わったという風に一息つく玲ちゃん。
魔力の暴走。
それによる兄の死。
なるほど。
重い話だ。
この子はその罪悪感と恐怖に怯えながら生きていたんだ。
だからこそ、自分の魔法と向き合う必要があると学園長は言っていたのだろうか。
僕には理解の及ばない領域かもな。
ただ、それでも伝えたい事はある。
「辛い話をさせてごめん。 そんな過去があるなんて知らなかったよ。 考えてみれば今までも無神経な発言をしてたかもしれない」
「俺からも謝る。 すまなかった」
「……いえ」
「でもさ、これだけは言わせて欲しい。 僕はこれからも玲ちゃんとの関わり方を変えるつもりは一切ない」
「……死ぬかもしれないんですよ?」
「はは、僕はそう簡単には殺せないよ」
「な、何を根拠にそんな事……!」
「俺もだ。 むしろ一回くらいその魔法体験してみてーな」
「ば、馬鹿にしてるんですか!?」
「馬鹿にしてんのはお前の方じゃねーのか! 玲、お前言っただろ?『これからも友達でいてください』って!」
カイトの口調が強くなる。
「なのに勝手に一人で考えた挙句、んな事言い出すなんてどういう了見だ? そんなに弱い奴なのかお前は!!」
「……い、言わせておけば! 私はもう誰も巻き込まないために……
「その考えがムカつくんだよ!! もう二度と暴走する事なんて起こしませんくらい言えねーのか!!」
「……う、そ、それは……」
「うん、カイトの言う通りだと思う。 それに、僕は玲ちゃんが自分の魔法を制御できないなんて事ないと思ってるからさ」
「う、うぅ……」
決して気休めで言っているつもりはない。
僕からすれば彼女はとても魔法を上手に使いこなしていると思ってるから。
それはきっと、この子のお兄さんがそうやって教えてたおかげもあるんだと……思った。
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