宇宙で唯一
私と彼の日常 1 / 3
あのナンパから早一年、私は20歳になっていてお酒を遠慮しない年齢になっていた。
季節はすでに秋、大学生の夏休みは長いからか夏休み過ぎればもう秋の兆しが見え始める。
この一年で変わったことがある。
細かなとこから見ていけば、洗濯物が増えた。
只さえ実家ほど大きくないクローゼットに私のじゃない服がある。
食器、洗い物が倍になってる。
お風呂場にはメンズ用のシャンプーなどなど。
歯ブラシも、もう一本。
そして、
「いい加減起きなさいよ、ばか昂」
でっかい男が私のシングルベッドを占領するようになった。
「いだっ!んー…ちょっとぉ、…なんも蹴らんでええやん灯菜ー…」
「邪魔なの、もうお昼。酔っ払いは廊下ででも寝そべっときなさい」
「殺生な……」
「師匠の誕生日だかなんだか知らないけど酔っ払って深夜2時に帰って来て私の安眠を妨害した罪は大きい」
「す、すんません……」
シュンと頭を下げる関西弁なまりのこの男は何を隠そうあのナンパ軍団の一人笹山昂祐。
ちなみに私の彼氏でもある。
あの日、勿論丁重なお断りをいれた私にこの男はしつこかった。
それはもう本当にうざいほどに。
めんどくさいから教えたら、それから何を思ったのかメールや電話が頻繁に来るようになって……
気づけば付き合ってた。
その話はもう半年も前にさかのぼるのだけれども。
「第一なんで自分ちに帰らないの?野原さんは帰ったんでしょ?」
「陸飲んでると絡んでくるからめんどいんやもん」
野原陸(のばらりく)さんは昂祐の相方。
ちなみ野原さんがボケで昂祐がツッコミ。
もっとちなみにコンビ名は2人の頭文字から「ササノハ」。
笹の葉…
「昂だって絡むじゃない」
「俺が絡むんは灯菜だけや」
するりと手が伸びたと思えばもう私は奴の腕の中。
「あー、灯菜あったかいー」
「人で暖を取るな」
「軽口叩きながらも顔赤くして俺の腰に手を回す灯菜可愛い!!」
「ばか」
ちゃんと言っておくけど、私もこの男が好きだ。
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