シュウとツバキ。―フタリのシアワセのカタチ。椿sidestory―
[シュウのソンザイ。](1/3)
きづくとわたしは、数ヵ月前までいた、ホームレスの溜まり場にいた。
不思議と足が動いたのだ。
…まあ、帰る場所って行っても、ここしかないから…。
柊。
何かを考えるとき、決まって必ず浮かんでくるのは柊だった。
そして…
あの写真と手紙…。
いけなかったのは私だ。
私なんかが幸せを願うから。
きっと神様が怒ったのね…。
世の中は理不尽だと思いながらも、やっぱり悪いのは自分だと思う。
会ってはいけない。
会いたい。
私はいつから欲深くなったんだろう?
どうしてこんなにも何かを愛しているんだろう?
全部、柊のせいだ…。
柊がいたから、私が今までのままではいられなくなった。
外の世界の美しさを、温かさを知ってしまったから。
何もかもが愛しいの。
何もかもが恋しいの。
願うことはいけないこと?
こんなにも何かを想うのは、どうしてこんなに苦しいの…。
会いたい…
そう願ったときだった。
ああ。本当に、あなたは素敵な人だね…。
どうして…私なんかを…。
現れたのは…
汗を大量に流した柊の姿だった。
「ど…して…?」
「迎えにきた。」
息切れしながらも、必死な形相で答えてくれる。
そんな柊に触れようとした。
けど…。
写真…。
思い出して手を引っ込めた。
「っ…こないで…!」
っ…
すごく傷ついて、泣きそうになっている柊。
どうして柊が泣きそうなの?
傷ついたのは私だよ…。
「椿…お願い…帰ってきてよ…君のいない日常なんて、つまらないんだよ…。今は、椿のいる日常が平凡なんだよ…!」
柊の銀色の髪は、お世辞を言えないくらい絡まって、なんとも言えないくらいボサボサだった。
所々木の枝や葉っぱがついていた。
「好きだよ…椿…ごめん。ずっと好きなんだよ…。」
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