シュウとツバキ。―フタリのシアワセのカタチ。椿sidestory―
[ヘイボン。ヒヘイボン。](1/4)
お兄さんは、その日1日、私をはなしてはくれなかった。

二人とも、いつのまにかそのまま眠っていたのだ。

「んっ…」

先に目覚めたのは私。

起きた頃には、もうお兄さんの手はほどけていた。

綺麗な顔…。

きっと色素が薄いんだと思う。

肌も、髪の色も、普通より白い。

なのに…

首には無数の傷。

手首にも同じような傷があった。

それを見たとき、思い出した。

『 ごめん…俺、なんていうか…重 いというか…メ、メンヘラというか…ヤンデレというか…結構ヤバ イやつなの…。』

お兄さんが言っていたこと。

これがその証拠だ。

「世の中を嫌いすぎる…か…。」

その通りだった。

世の中に嫌われて、世の中を嫌った。

私とお兄さんの共通点。

お兄さんになら、どれだけ強愛されてもいい。

お兄さんになら、殺されてもいい。

本当にそう思っている。

「…ご飯…作らなきゃ…」

お兄さんが起きてしまう前にさっさと作ってしまおう。

台所に向かい、最初に確認するのは冷蔵庫の中。

卵があるから卵焼きでも…

食パンもある。

フレンチトースト…作れるかな?

運のいいことに、台所の棚には、数冊のレシピ本があった。

フレンチトーストの作り方だってのってある。

これなら作れそう…。

まだ起きそうにないお兄さんを横目に、私は料理を始めた。

えっと…お塩?お砂糖?これどっち…?

…しょっぱい!

お塩だ!

ああっ!

焦げてしまう!

ガチャガチャ

カチャカチャ

………

……



なんとか完成した。

形はまずまずかな。

あとはお兄さんを起こさないと…



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