ゆーらり
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その日の帰り、彼女が
「あーあ…。これで辞めれると思ったのにな…」
と言った。
初めて彼女の口から"辞めたい"との意思を聞いた。
そんな素振りは一度も見せなかったし、むしろ仕事が好きなのばかり思っていた。
だが、本当は何もかも違った。
部署の年配の方にかなりのいじめにあっていたそうだった。
一番最初は、男性と話していたら「仕事してない」と言われたりと些細なことだったらしい。
そういえば、彼女が少しだけ「お局みたいな人に色々言われるー!」といい、カラオケに行ったことがあった。
それ以外彼女はなにも言わなかった。
ずっと。
しかも聞いたらすごい内容だった。
年の近い人たちとは仲良くしていたが、 ご年配の方たちは男性と話すのをよく思わない人が多く、そのことで横を通れば嫌味を言われ、お茶をつげば、最近の若者はねぇと内緒話をされ、持ち物を隠されたこともあったとか。
それでも、彼女は暇人がなんかしてると気にしないようにしていたそう。
「ねぇ、なんで一言も言ってくれなかったの?」
「…なべにいって、何かしてくれたの?
何かしてくれるならいいよ、でもただ聞くだけしかできないじゃん!そんなの自分がいじめられてることをただ伝えるだけじゃん!!」
「だとしても、言ったら何かかわるかもしれないじゃん」
「変わらないよ。じゃあなべは、その立場が危うくなっても私を助ける勇気はあるの?」
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