初恋の恵美ちゃんの首がある朝いきなり吹き飛んだんだけど。



8:エミチャン(1/6)




『・・・・・・こんにちは』


只野「・・・・・・・・・っ」


俺達の目の前に現れた一人の少女。


一瞬でわかったよ。



彼女が......恵美ちゃんだって。



矢田「よう。・・・・・また会ったな」


『そうね。生きていてくれてよかった』


矢田「死者に言われると説得力が違ぇな」


そう言ってニヤリと笑う健吾の顔は


まるで全てを覚悟した様な....そんな表情だった。



只野「お前が.....殺したのかよ」


足立「ちょっと....やめなよ」



『ん?なぁに?よく聞こえなかった』



只野「お前が殺したのかって聞いたんだよ!!」



友達も



初恋だった恵美ちゃんも



全て。




『・・・・・そうだよ。私が殺した』


只野「ーーーーーーーーーっ。てめぇ....」



『まぁ、正確には私が直接殺したワケじゃないけどね』


只野「同じ事だ。人が沢山死んだんだよ。お前は....俺の大切な人達を殺したんだよ!!」



怒りが、抑えきれなかった。



目の前で当たり前の様に存在する

今は亡き少女の霊に対し


俺は....恐怖よりも怒りがこみ上げてきた。



矢田「・・・・・加地さんはどうした」



健吾のその一言で俺達は気付いた。



そうだよ。加地さんは?


課題は終了したんだ。



でも....まさかコイツが....?



足立「殺しちゃったの....?」


足立が震える声で呟く。



『・・・・殺してはいないよ。ただ....』



償いはしてもらった。



矢田「・・・・・・・・償い?」


『そう。3年前の.....償いを』


別に私が強要したワケでもない。


彼が自ら望んだ事なんだ。



だから、私はそれに応えてやっただけ。



矢田「じゃあ....まだ加地さんは生きてるんだな?」



『そうだね。でも早くしないと死んじゃうかも』


そう呟き、恵美ちゃんは怪しく笑う。



矢田「おい。光輝、足立。急いで加地さんを助けに行ってくれ」



只野「・・・・は?お前は....?健吾はどうするんだよ」




矢田「俺は....この子と話す。二人きりにしてくれ」


只野「な....何言って....」



矢田「俺に....話があるんだろ?違うか?」



健吾の声は驚く程に落ち着いていて。



『そうだよ。よくわかったね』



まるで、こうなる事が初めからわかっていたみたいに。


健吾は冷静だった。





矢田「行け、二人共。俺は....この子と話して全てを終わらせる」




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